コンディションチーム運営
熱中症対策。 WBGT で判断する練習中止基準と現場の対応
2026-05-095分
「水筒持ってきたから大丈夫」── 残念ながら違います。
熱中症は 環境 と 体調 の組み合わせで起きるため、水分補給だけでは防げません。育成年代は特にリスクが高く、WBGT 指数で機械的に判断する のが現場のスタンダードです。
WBGT (湿球黒球温度) とは
気温・湿度・輻射熱を組み合わせた 熱中症リスク指標。気温だけでは「26°C で大丈夫」と判断しがちだが、湿度 80% だと WBGT は 30°C を超え、運動中止レベル。
Point
環境省の 熱中症予防情報サイト で、地域ごとの WBGT 予測値を公表している。前日に確認して練習可否を判断するのがベスト。
スポーツ庁の運動指針
WBGT による運動目安
- →21°C 未満: ほぼ安全
- →21 〜 25°C: 注意 (積極的に給水)
- →25 〜 28°C: 警戒 (積極的に休憩)
- →28 〜 31°C: 厳重警戒 (激しい運動は中止)
- →31°C 以上: 運動は原則中止
Note
体育館は外気温より高温多湿になりやすい。空調なしの体育館で WBGT 31°C は珍しくない。
育成年代の特殊リスク
U12 以下は 体温調節機能が未熟、発汗量が少なく深部体温が上がりやすい。大人より早い段階で対策が必要。
- 発汗量が大人の 60 〜 70%
- 脱水サインを自覚しにくい
- 声をかけられないと水を飲まない子も多い
- 肥満児・運動不足の子は特にハイリスク
現場での給水ルール
- 1 時間あたり 500 〜 1000ml が目安
- 20 〜 30 分ごとの定時給水を組み込む
- 塩分補給 (経口補水液 / スポーツドリンク) を併用
- 氷を準備、首・脇・鼠径部を冷やす用に
Point
「飲みたい時に飲ませる」では遅い。コーチが給水タイマーを管理 する。
異変時の対応プロトコル
Before
「ちょっと休めば大丈夫」と座らせる
After
意識・体温を即チェック、応援要請を並行
- 1. すぐ涼しい場所へ移動 (体育館外の日陰、車の中も可)
- 2. 衣服を緩める、横にする (足を高く)
- 3. 首・脇・鼠径部を氷嚢で冷却
- 4. 経口補水液を飲ませる (意識ある時のみ)
- 5. 意識朦朧 / 嘔吐 / 反応鈍い → 119 番 即時通報
Note
意識障害は熱射病サイン。10 分の遅れが命に関わる。迷ったら救急車。
練習計画への組み込み
- 前日に WBGT 予測を確認 → 中止判断
- 練習前に体育館で WBGT 計を測定
- 20 分活動 + 5 分給水のリズム
- 保護者に当日朝の体調確認をお願い (寝不足 / 朝食抜き / 発熱 → 不参加)
Point
WBGT 計は 5,000 〜 15,000 円程度。チームに 1 台あると判断が機械化できる。
出典: 環境省 熱中症予防情報サイト (wbgt.env.go.jp) / スポーツ庁 学校における熱中症対策ガイドライン (mext.go.jp) / 日本スポーツ協会 スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック (japan-sports.or.jp)